高齢者や障害者をはじめ、あらゆる人が円滑に社会に参加しやすいよう、制約を取り除くのがバリアフリーと言う考え方です。
公共施設はもちろん、商業施設や一般住宅などの建物でも、この考え方は浸透してきました。
今回は、建物をバリアフリー化するためのコツと、知っておきたい事柄について紹介します。
1.建物をバリアフリー化するためのヒント
一般的に良く言われるのが、段差の解消と手摺の設置です。車いすの方や高齢者はもちろん、ケガや病気で一時的に移動が困難になっている場合に大いに役立ちます。
段差の解消は、例えばエントランスの階段部分にスロープを併設するのがおすすめです。
廊下と部屋の境目や浴室などに段差が生じがちなので、注意して下さい。
手摺は階段や段差がある場所の他、座ったり立ったりする際に、助けになる箇所に設置すると良いでしょう。
商業・公共施設など不特定多数が訪れる場合は、更に踏み込んだバリアフリーを検討したいものです。
自力での移動が困難な方だけではなく、視覚や聴覚に難がある方が利用することも珍しくないのが理由。
他にも、お子さん連れやオスメイトの利用者などにも、配慮しましょう。
視覚が不自由な方に対しては、点字ブロックや音声による案内が代表的です。
加えて、色盲の方に向けて、表示や標識の配色に気を付けて下さい。
例えば赤色は通常の視覚では認識しやすい色ですが、色盲の方だとそうではありません。
このような事情があるので、文字と背景の明度やコントラストに気を配らないと、せっかくの標識が認識できない可能性があります。
聴覚障害者向けとしては、磁気誘導ループ(ヒアリングループとも)を設置するケースが増えているようです。
これは、専用の補聴器を装着している方向けに設置するものです。
磁気誘導ループ専用の補聴器に対し、とてもクリアな音声を届けられるので、施設内の誘導や、コミュニティへの参加を促進できます。
比較的低予算で設置できるので、検討してみてはいかがでしょうか。
一般住宅では、やはり要介護状態になった場合を想定して、バリアフリーを考えたいものです。
リフォームによって実現するのはもちろん、将来を見越して、予め建築設計の段階から、バリアフリーを念頭に置くのも悪くありません。
最初からバリアフリーにしておくと改修費用がかかりませんし、お子さんやペットが家の中で怪我をするリスクも低減できるでしょう。
また、不慮の怪我や病気で一時的に歩行が困難になったり、立っているのが大変になったりすることは稀ではありません。そのようなケースを想定しても、一般住宅のバリアフリー化は大切です。
具体的に、一般住宅ではトイレやキッチン、浴室などに注意しましょう。
特にトイレは、寝室に近い方が、何かあった時に助かります。
浴室は段差をなくすほか、バスタブの高さを工夫することが大切。
浅めの浴槽で、ゆったり浸かれるタイプを選んでみましょう。
キッチンは、流し台などの設備を低めにすると、座ったまま作業ができるので便利です。
立っているのが困難になった時はもちろん、平時でも、疲れた時には椅子に腰かけて料理などを行えます。
2.バリアフリーと法律について
現在は国も、バリアフリーへの取り組みを強化しています。
国土交通省が主体となって、バリアフリーマップを整備するなど、取り組みは加速してきました。
中でも建物に関して気を付けたいのが、バリアフリー法の存在です。
この法律を基に、各自治体ではバリアフリー条例が整備されており、一定の建物についてはバリアフリー化を行う必要的な義務が課せられるようになりました。
不特定多数が利用する場合や、一定の規模以上の建築物では必要になってきますので、注意しましょう。
基準については各自治体の条例によって異なりますが、施設利用者に配慮し、バリアフリーへの対応が必要です。
まとめ
建物のバリアフリー化についてまとめてきました。
誰もが快適に利用できるように気を配ることで、生活品質は大きく向上するはずです。
検討する場合は、ノウハウがある業者に相談すると、的確な助言を受けられるでしょう。