高齢化が進む日本では、住宅のバリアフリー化は検討しておきたいものです。
特に浴室は毎日使う設備ですから対策は重要。現家族が要介護者となった場合にはもちろん、将来の備えとしても、考えておくと役立つはずです。
今回は、浴室のバリアフリー工事で要チェックな、浴槽の深さなどのポイントをまとめていきます。
1.浴室のバリアフリーは何故大切なのか
高齢者が入浴中に何らかの事故に遭遇する頻度は、交通事故に遭う場合よりも多いそうです。
冬場は寒暖差によるヒートショックで意識を失い、溺水するケースが頻発しています。
それ以外の事故も珍しくはなく、バランスを崩したり、足を滑らせたりして転倒することが多いです。
お風呂場は当然ですが、浴槽のフチや金属の水道栓、タイルの床など、硬いものだらけ。
転んで、これらに頭をぶつけたら大けがをしかねません。後遺症の発生など、重大な結果に繋がった事例も散見されます。
浴室のバリアフリー化は、このような不慮の事故を防ぐために有効です。安全性の確保に加えて、高齢者にとって使いやすいお風呂になるのもメリット。
また、バリアフリー化しておくと、ヘルパーを利用する時にも便利です。
2.バリアフリーはまず浴槽から
浴室のバリアフリーは、浴槽から見直していきましょう。
なぜなら、一般的な家庭の浴槽は深さが60cmほどあるのですが、高齢者は、この段差を上手くまたぐのが難しくなります。
水やせっけんカスなどで滑りやすい床の上で、60cmも片足をあげて浴槽に出入りするわけですから、やはり、転倒する危険性は高めです。
しかも、毎日使いますし、お風呂はリラックスする場所なので注意力も散漫になっています。
このような危険性を回避するなら、浴槽の深さは40mを目安にすると良いでしょう。
これ位の深さなら足腰が少し弱っていても、またぎやすいです。
浅めのバスタブは物足りないと感じる時は、背もたれを傾斜付きのタイプにすれば、浅めの浴槽でもゆったりと浸かれるので検討してみましょう。
他には、半埋め込み方式にするのも一手です。これは浴槽を床に半分埋め込んで設置します。
これによって洗い場と浴槽のフチの高さを下げられるわけです。
もちろん、浴槽内の深さは維持できますので、しっかりとお湯に浸かれます。
3.その他に気を付けたい浴室バリアフリーのポイント
浴槽の深さ以外にも、安全対策のために検討したいポイントが幾つかあります。
複数の安全策を組み合わせることで、事故防止にも役立ちますし、お風呂の使い勝手も良くなるので要チェックです。
まず、お風呂場と脱衣所の段差はない方が安心です。高齢者になると、自分が思っているよりも足が上手に上がらなくなるので、ちょっとした段差でも躓いて転倒することがあります。
加えて、手摺の設置も転倒防止に効果的。設置場所を工夫すれば浴槽への出入りも楽になります。後は床ですが、乾きやすくスリップ防止の配慮がある製品を使うと良いでしょう。
見落としがちな部分としては、浴室のドアがあります。
一般的な浴室には開き戸が設置されているケースが多いです。
この開き戸が浴室の方に開けるタイプだと、注意が欠かせません。
このタイプだと万が一、浴室で高齢者が倒れた場合、ドアが体につっかえてしまい、開けられなくなる危険性があります。
このため、浴室のバリアフリーでは引き戸への変更を考えたいもの。また、ガラス戸だと割れた時に危険なので、材質の見直しも重要です。
まとめ
浴室のバリアフリーについて紹介してきました。
浴槽の深さを見直すほか、色々な対策を組み合わせるのがおすすめです。
現在はバリアフリーに関して補助金を利用できる可能性があるため、積極的にリサーチしておくのがおすすめ。
トイレなどもまとめてバリアフリーにするとメリットがあるので、検討してみて下さい。